会長兼CEOメッセージ

株主の皆様へ

取締役会を代表致しまして、2019年度12月期のユニ・アジアグループリミテッドとその子会社(以下、「グループ」又は「ユニ・アジア」)の事業報告をさせて頂きます。

グループは、2019年度において前期比68%増の6.6百万米ドルの当期利益を計上致しました。船舶部門は2018年度5.7百万米ドルの損失を計上致しましたが、2019度は3.5百万米ドルの部門利益を計上、不動産/ホテル運営部門はIFRS第16号「リース」適用の影響を受けたものの7.7百万米ドルの部門利益を計上、本社コーポレートサービスに係る費用は前期並みの4.7百万米ドルとなりました。

2019年度のばら積船市況は、年初は回復が期待されたものの、総体的に低調な推移となりました。2019年度前半にブラジルで発生したヴァーレダム決壊事故や豪州のサイクロンによる鉄鉱石出荷減に伴うばら積船需要の減少など、予期しない事故・自然災害の発生に直面し、市況は2018年度より低調な推移となりました。ハンディサイズのバルチック海運指数は2019年8月15日から10月11日間を除き、全期間において2018年度を下回りました。このような状況下、グループの船舶部門は、期中に用船契約が終了する船舶について、的確なコマーシャルマネジメントをおこない、収益性の改善に努めて参りました。また、船舶管理の安全性と業務水準の向上を目的として、子会社のウェルスオーシャンシップマネジメント(上海)カンパニーリミテッドが、初めてとなるクルーセミナーを中国の杭州で開催し、船舶管理の経験をクルーと共有致しました。一方、ストラクチャードファイナンスのアレンジを通じて1百万米ドルを超える手数料を収納し、この結果、船舶部門は合計で3.5百万米ドルの当期利益を計上致しました。

次に、不動産/ホテル運営部門は7.7百万米ドルの部門利益を計上致しました。当期連結会計年度において、香港不動産投資第2号及び3号案件からの、それぞれ1.9百万米ドル、4.2百万米ドルの収益が大きく貢献致しました。

香港の不動産投資を含む海外における不動産投資部門は5.8百万米ドルの部門利益を計上致しました。新規投資案件として2020年1月、香港のファーストグループホールディングスリミテッドとのコンソーシアムにより、香港不動産投資第7号案件として持分8.27%、金額 にして53.75百万香港ドル(約6.85百万米ドル)の投資を実行致しました。上記案件は、すでに基礎工事が終了しているプロジェクトを購入したもので、2022年に竣工予定となっております。昨年来の民主化デモやCOVID-19等、現在の香港を取り巻く状況には厳しいものがありますが、2年後の竣工に向け、状況が落ち着き、グループ収益に貢献することを期待しております。グループの東京における小規模住宅開発事業である「ALERO」シリーズは、平均すると20%以上の内部収益率を維持しており、引き続きグループの収益とキャッシュフローに貢献しております。

本邦における不動産アセットマネジメントのライセンス業者であるユニ・アジアキャピタルジャパン株式会社(以下、「UACJ」)は、小規模住宅開発事業の「ALERO」シリーズのアセットマネジメントだけでなく、この分野で培った実績と経験を生かし、新規事業の開拓と参入に努めております。現在UACJは(i) ホテル/ホステル、(ii)「ALERO」等住宅用不動産のアセットマネジメント事業に加え、2018年度から、(iii)ヘルスケアの分野でも、アセットマネジメント事業を展開しております。当連結会計年度末におけるAUMは262億円で、その内訳は、(i)ホテル/ホステル92億円、(ii)住宅用不動産68億円、(iii)ヘルスケア102億円です。また、2019年度第1四半期には、UACJがアセットマネージャーとして設立し、グループの子会社が投資したホテル開発ファンドが保有するホテルビスタ名古屋錦を売却し、約5.1百万米ドル(IFRS第16号「リース」適用後は4.2百万米ドル)の売却益を実現致しました。

2019年度の日本のホテル業界は、2020年の東京オリンピックに向けた空前のホテル建設ラッシュでホテル客室数の供給増加、日韓関係の悪化による韓国人旅行者の減少、また自然災害の影響を受け、グループのホテル運営事業も大きな影響を受けた年となりました。2019年度に日本を襲った台風19号は過去最大規模で日本列島を横断、各地に甚大な被害をもたらし、ホテル業界も大きな損失を被りました。2019年度グループのホテル運営事業は、IFRS第16号「リース」適用の影響を除いたベースでは、0.3百万米ドルの部門利益、IFRS第16号「リース」適用後は、2.3百万米ドルの損失を計上致しました。IFRS第16号「リース」による影響については、昨年度の私のメッセージをご参照頂けると幸甚です。

配当金

2019年4月8日に、2019年度の配当性向はグループ収益の35%、配当金支払いは半年毎を目標とすることを開示し、2019年9月27日にグループ初の中間配当金として、一株当り0.02シンガポール・ドルを株主の皆様へお支払い致しました。また、2019年度のグループ当期利益6.6百万米ドルに対する期末配当金は、一株当り0.022シンガポール・ドルのお支払いを年次株主総会でご提案させて頂くことを取締役会で決議致しました。これにより2019年度の配当金は合計で、一株当り0.042シンガポール・ドル、総額2.42百万米ドルで、これはグループ収益の36.7%の配当性向となります。

コーポレート・アクションとインベスターリレーションズ活動

2019年度は投資家や専門家からのフィードバックを元に、企業の知名度と株式価値の向上を目標に、下記のコーポレートアクションとインベスターリレーションズ活動を実施致しました。まず初めに、2019年4月に第三者割当増資を実施致し、新たに機関投資家や富裕層の投資家を株主として招致することができました。その後、グループの配当金方針とガイダンスを開示、2019年5月に株主への利益還元と株式の流動性向上を目的とし、既存株一株に対し新株1株の割合での無償増資を実施致しました。これらのコーポレートアクションに加え、シンガポール有数の証券会社アナリストを対象にグループの日本の事業を紹介することを目的としたアナリストツアーの開催や、ローカルラジオステーションへの参加を含むローカルメディアへのアプローチ等、インベスターリレーションズ活動も活発に実施致しました。これらの活動は定例で開催している証券会社アナリストや投資家向けの四半期毎のアナリストブリーフィング、ランチブリーフィングに加えて行った活動です。今後も引き続き、インベスターリレーションズ活動をとおし、企業の真の価値と株式流動性の向上を図る所存です。

新型コロナウイルス感染症の世界的流行

このメッセージをドラフトしたのは丁度新型コロナウイルス感染症が世界中へ拡大しているころであり、新型コロナウイルス感染症が世界経済へ悪影響を及ぼすことが明らかとなりました。このように先行きの不透明感が漂う中、当社の事業部門の中では、特に船舶部門とホテル運営部門は需要の減少に伴う業績への影響が懸念されます。船舶関連のメディアであるTradewind Newsは記事の見出しで「中国で感染症が発生すると、船舶市場も風邪をひく」という表現をしていましたが、船舶ビジネスにおいて中国が需要、供給の両面において、空前のメジャープレイヤーとなっております。現在、中国の景気が停滞し、各国で強制的な入港制約や検査の導入が始まっており、海運市況は前例のない困難に直面しております。また、本邦におけるホテル運営事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大による旅行客やビジネス客の減少に伴い稼働率、客室単価の下落が懸念されます。残念ながら、すでに当社の運営ホテルのいくつかでキャンセルが増加している状況です。今年度の見通しを公表するにはまだ早い段階ではございますが、2020年度のホテル運営事業の業績に少なからず影響が出ることが懸念されます。状況の推移に柔軟に対応しながら、コストの一層の削減を通じて、この難局を乗り切る所存でございますので、ホテル運営事業の業績に対するご理解をお願い申し上げます。

最後に

私は2014年度よりグループの会長兼CEOとしてグループを牽引して参りましたが、2018年3月に、CEOの後継者育成プランの一環として、新たに3名のエグゼクティブディレクターを任命致しました。それから二年が経過し、過年度に改定されたシンガポールのコーポレートガバナンスコードの推奨に準じ、企業統治の強化と透明性の向上を目的に会長職とCEO職の職務分掌を行うこととし、2020年4月30日を持ちまして私はCEO職を退任し、新たなCEOとして三名のエグゼクティブディレクターのうちの一人である福宿謙二氏が任命されることを、この場をお借りして皆様にご報告させて頂きます。福宿氏は、入社以来、グループの中核事業である船舶部門を含む様々な分野で経験を積んでおり、経営陣とスタッフのリーダーとしてグループを牽引できる逸材です。私は、引き続き会長職を担い、取締役会のリーダーとして、株主の皆様を含むグループのステークホルダーの皆様とのよりよい関係を構築することを通じてグループに貢献致します。今般、会長職とCEO職の責任を明確にし、これにより企業統治の強化を図り、更なる企業価値の向上を目指すことをお約束致します。

グループの取締役、経営陣そして従業員の献身的な努力とコミットメントに感謝申し上げるとともに、お取引先、ビジネスパートナー、金融機関の皆様を含むステークホルダーの皆様からの変わらぬご支援に感謝申し上げます。新しくCEOへ任命される予定の福宿氏にも引き続き、温かいご支援を賜りたくお願い申し上げます。上述しましたとおり2020年は先行きの不透明さが漂う年でありますが、グループの総力を結集し、ステークホルダーの皆様、特に株主の皆様へ還元できるよう尽力して参ります。

棚元 道夫
会長兼CEO
ユニ・アジアグループリミテッド