CEOビジネスレビュー

株主の皆様へ、

好調だった2021年度に続き、大幅な増収と利益率の向上を背景に2022年度の純利益は昨年度比50%以上の増益となる27.9百万米ドルを計上、グループは二年連続で最高益を更新致しました。かかる好業績を踏まえ、グループは期末配当及び特別配当を合わせて一株当り0.08シンガポールドルの配当を予定しております。2022年9月に実施した中間配当を含めた2022年度の通期配当は一株当り0.145シンガポールドルで、昨年度の2倍以上、かつ、グループ設立以来最も高い配当水準となります。

船舶部門 回復力の証明

2022年度上期の海運市況は、バルチック・ハンディサイズ海運指数(以下、「BHSI指数」)の平均値が2021年度上期の1,084に対し、2022年度上期は1,432と好調に推移しました。しかしながら、2022年度下期に入り、ばら積船輸送の需要が軟化し始めるとともに港湾の混雑が緩和されたことから、ばら積船市況は弱含みとなりBHSI指数は2021年度下期の1,766に対し、2022年度下期には940まで低下しました。このように2022年度下期のBHSI指数は急落したものの、グループは短期・長期用船を組み合わせた積極的なリスク管理戦略を遂行し、収益の落ち込みを最小限にとどめることができました。グループ全額出資のばら積船10隻の一日当り平均用船料は、2021年度の13,561米ドル/日に対し、2022年度は18,841米ドル/日となり、2020年度の2.5倍の水準となりました。その結果、2022年度の用船料収入は昨年度比37%増の65.3百万米ドルを計上し、2022年度の船舶部門の税引前利益は同47%増の32.5百万米ドルとなりました。

新年度のばら積船マーケットは低調なスタートとなりましたが、業界の専門家は2023年度の市況改善について、慎重ながらも楽観的な見方をしています。これは世界第2位の経済大国である中国の経済活動再開により、ばら積船をはじめとする海上輸送の需要喚起が期待されていることが主な要因の一つです。ばら積船輸送を牽引する需給要因も引き続き良好で、ばら積船の海上輸送量(トンマイルベース)は2023年に2.0%、2024年に2.2%増加すると予測されている一方、ハンディサイズばら積船の供給は2023年に▲0.2%、2024年に▲1.7%減少すると予測されています。また、新たな排出規制が、船舶の減速運航や設備改良工事の増加を通じて、マーケットにおける船舶の供給をさらに減少させる可能性があります。クラークソンズ・リサーチ がまとめたデータによると、ハンディサイズばら積船の中古船価格は、BHSI指数の最近の下落にも関わらず、船舶の供給がタイトなため比較的堅調に推移しています。グループは、船齢の古い28,000載貨重量トンのばら積船売却による売却益確保を念頭に売買船市場を引き続き注視していくと共に、グループのサステナビリティに資する、より収益性の高いプロジェクトへの資源再配分を通じた収益の最適化を図るよう努めて参ります。

不動産投資‐香港不動産事業は好転の兆し

2022年の香港不動産市場は引き続き新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、当セグメントの利益は0.4百万米ドルと、感染拡大前の香港不動産ブームの絶頂期とは様変わりの様相となっています。しかしながら、香港は依然としてアジアの主要な金融ハブであり、多くの多国籍企業の本拠地となっています。また、中国のゼロコロナ政策解除により不動産セクターのセンチメントが改善し、香港での不動産取引総数が3ヶ月ぶりの高水準を記録しました。2023年1月の不動産取引総数は2022年12月から24%増の4,427件となり、また、取引額は26%増の325億香港ドル(41億米ドル)と5カ月ぶりの高水準となりました 。グループは売却益実現に向けてパートナーと緊密に連携している一方で、この好循環が引続き香港での不動産投資を後押しすると慎重ながらも楽観視しています。

グループの香港不動産投資第4、5、6、7号案件は、ユニット毎に販売を進めています。また、香港不動産投資第8号案件は、最近基礎工事が完了し、2024年までに竣工する予定です。

不動産投資(日本)は好調に推移中

東京の不動産市場は、新型コロナ感染拡大による影響にも関わらず、好調な国内経済と低金利を背景に堅調に推移しています。グループのトレードマークである小規模住宅開発案件「ALERO」シリーズ、不動産アセットマネジメント及び関連不動産事業は引き続き好調で、2022年度の当セグメントの利益は1.7百万米ドルを計上致しました。

グループの子会社であるユニ・アジアキャピタルジャパン株式会社(以下、「UACJ」)が運用する不動産資産は順調に伸び、運用資産残高(以下、「AUM」)は2022年末時点で369億円に達しています。その内訳は、ホテル/ホステル/リゾート(123億円)、住宅(87億円)、ヘルスケア(159億円)となっており、グループは今後も日本における不動産運用資産の拡大と収入の安定化を指向致します。

過去2年間の利益の急増はグループに大きな恩恵をもたらし、強固なキャッシュフローがバランスシートの大幅な強化につながりました。純負債額は、2020年の78.5百万米ドルから2022年には25.6百万米ドルへと大幅に減少しました。151百万米ドルの強固な自己資本と相まって、株主利益増大の為に必要なレバレッジの活用余地を高めています。

今後の展望として、グループは長期的に持続可能な株主資本利益率(以下、「ROE」)を達成することを目標に掲げ、その達成のために以下の目標を掲げます。

  1. 潜在的なビジネスチャンスを発掘するため、より積極的なマーケティングを行う。
  2. マーケティング・チームの人材プールを増やす。
  3. 既存/新規事業からの手数料収入、賃料収入、投資リターンを高めるため、AUMを増加させる。
  4. IT投資を含む業務効率を継続的に改善する。
  5. サクセッションプランの実施に伴い、今後数年間で次世代を担う従業員をマネジメントレベルに昇格させる。

私はCEOとして、2022年度にユニ・アジアが成し遂げたことを誇りに思うと同時に、次のステージに進むことを楽しみにしています。オルタナティブ資産に特化した投資運用会社として、新たな投資ソースやプロダクトを創出し、AUMの拡大や投資ポートフォリオの強化を図っていく所存です。また、タイムリーな資産売却、債務圧縮、流動性の向上を通じてバランスシートの強化に努めます。グループは株主価値と配当利回りの安定的な向上を通じて、ステークホルダーや株主の皆様に持続可能な長期的リターンをもたらすべく、優良な投資機会の発掘により収益性を最適化するよう努める所存でございます。

今年も決算期を迎えるにあたり、この場をお借りして、グループの取締役、経営陣そして全従業員の忍耐強く献身的な努力とコミットメントに感謝申し上げるとともに、お取引先、ビジネスパートナー、金融機関、株主の皆様からの変わらぬご支援に感謝申し上げます。不確実性の満ちた時代ではありますが、より強く、より収益性の高いユニ・アジアを構築するために、共に歩んで参りたいと思います。

福宿 謙二
CEO

ユニ・アジアグループリミテッド
2023年3月16日